いつだったか、オリンピックの開会式の入場行進をテレビで観ていたときのこと。
アフリカ諸国の行進の順番が来ると、それまで饒舌に各国の情報を伝えてきた実況の口数が急に減ってきた。
カーボベルデ! サントメプリンシペ! シエラレオネ!
誰も知らないマイナーな国の国名を発する会場のアナウンスだけが音として流れるものの、話すネタが思い浮かばないのか実況は黙り込み、やがては完全な沈黙状態に。その後、長い静寂の時間を経てようやく発した言葉が、こともあろうか「知らない国もあるもんですねぇ・・・」と、視聴者と全く同レベルの発言・・・。
(その知らない国を事前に調べて、ちゃんと視聴者に伝えるのがあんたの役目でしょ?)
好奇心だけは人一倍の自分は、その「誰も知らない国」を知るために旅に出る。今回の訪問先はアフリカ大陸にある「ジブチ共和国」。大半の日本人にとっては、間違いなくノーバディノーズな国だと思う。その証拠に、世界中すべての国を網羅しているかのように見えるあの「地球の歩き方」でさえ、ここジブチに関しては1ページも割かれていない。
さすがに全く情報が無いとなると旅することも難しい。苦肉の策として、海外のバックパッカー向けの情報が載っている「ロンリープラネット」、通称ロンプラのアフリカ版を有燐堂本店で購入し、最低限の情報だけはゲットすることにした。
文章はもちろん全部英語、そして写真は皆無。価格は洋書だからなのか5,500円、って高っ!の割りにジブチに関するページはわずか15ページ。う~ん、これだと1ページ当りの単価って?・・・いやいや、そういうことを考えるのはよそう。充実した旅をするためだ、コストは惜しまずかけよう。
こうして、足りない英語力と少な過ぎる情報、それから大きな好奇心を胸に抱いて、羽田空港行きのバスに乗り込むこととなった。