イスラム国(IS)の首都とされるラッカという街から直線距離でおよそ100㎞。『パルミラ』という世界遺産に登録された遺跡がある。
パルミラ王国は紀元前1世紀から3世紀にかけてローマ帝国とメソポタミアをやペルシアを繋ぐシルクロードの中継都市として繁栄した都市国家で、ベル神殿、列柱道路、ローマ劇場などが有名なとても美しい遺跡・・・だった。
そんなパルミラ遺跡が2015年5月、ISに制圧され支配下に置かれてしまった。ベル神殿は破壊、凱旋門は爆破され、辺り一面には無数の地雷が埋められたと報道されている。
遺跡に隣接するタドムルの街。
あの日、昼ご飯を食べたあの食堂は、今どうなってるのだろうか・・・。
バスの時間を教えてくれたあの優しいおじさんは、今どこにいるのだろうか・・・。
2017年2月現在、シリア国民のおよそ半数にあたる約1150万人が難民となり、そのうち約400万人が国外へ脱出。この難民数は世界最多、全世界の難民の5分の1はシリア難民ということになる。
ロシア軍の空爆支援の末、2016年3月パルミラはISからの奪還に成功した。
が・・・遺跡のほとんどは破壊され、ユネスコも修復は不可能と判断するほどの惨状だという。
そして2016年12月、パルミラの遺跡は再びISに制圧された・・・。
ほんの数年前、まだこの国は平和だった。
街は活気で溢れ、人々は談笑し、夜遅くに出歩いてもまったく危険を感じることすら無かった。
首都ダマスカスのカシオン山は旧約聖書に登場する舞台。兄のカインが弟アベルを殺した場所。つまり人類最初の殺人事件が起こった場所とされている。訪れた当時は首都の街並みを一望できる夜景の綺麗なビュースポットになっていた。
聖書に記された殺人事件からおよそ2,500年後の今、それと比較にならない程壮絶で凄惨な悲劇がこの場所で起こってしまうことを誰が予測できただろうか・・・。
現在、外務省の渡航情報では全土がレベル4の退避勧告。この国の地図は真っ赤に塗られている。
シリア内戦・・・アサド率いるシリア政府軍と反政府武装勢力との争い。反政府武装勢力には、イスラム国の他、アルカイダ系のヌスラ戦線、クルド人勢力など複数の武装勢力が入り乱れ、先の見通しは全く立たず泥沼化している。
夜になると人々はスーク(市場)に集まり、とても賑やかだ。
在りし日の国家、平和なシリアがその時はまだ確かに存在していた。
レバノンと聞いてどんなことを連想するだろうか?
まず、国名なのか都市名なのか、はたまたゲリラの名称なのかが分からないかもしれない。
レバノンとは地中海に面する中東の国名で、首都はベイルート。
元々は地中海交易で栄え、この地域の商業、金融の中心地であったここベイルートは、かつて「中東のパリ」と呼ばれるくらい華やかな都市だった。
続きを読む
ゴラン高原クネイトラ。
高原といっても、軽井沢や那須などのようなリゾートでは決してない。
第3次中東戦争の戦場となった村だ・・・。
暑い!
って、いうより日差しで痛い!
そして熱気が重い!
53℃の世界は灼熱地獄だ・・・。
日中なのに街はだ~れも歩いていない。
それもそのはず、50℃を越えると
たとえ100mでも水なしでは歩けない、命がけの世界だ。