横浜 川崎 後藤純一税理士事務所

横浜 川崎 後藤純一税理士事務所

後藤純一 地球紀行

死を待つ人の家(中編)~インド

11e84cdb-s

ここが「死を待つ人の家」だ。

スペイン人のリーダーが指差す。

かなり広い敷地なのだが、建物内はシーンと静まり返り、物音一つしない・・・。

その理由はすぐに分かることになる。

大部屋のベッドに30人くらいの人々が寝かされている。

何の病気だろう、重度のリウマチなのだろうか、

自力で動ける人はほんのわずかで、

会話ができる人もほとんどいない、

ただうつろな目で我々を見つめているだけだ。

 

「さあ、患者さんたちのためにがんばるぞ」

 

まず患者さんたちを二人がかりで部屋の外に寝かせてあげ、ベッドを寄せて床をホウキで掃くのはいいのだが・・・。

う~んなぜなんだ、ホウキに柄がない・・・。

腰を90℃に曲げた状態でひたすら掃き続ける。
「ゴッホ、ゴッホ」舞い上がる埃をすべて吸い込む・・・。

それが終わると床の水ぶき。

だだっ広い部屋の雑巾がけは限りなくスポーツに近い。

ベッドメイクをし、患者さんをベッドに戻してやっと一部屋完了。

この工程を何部屋分も繰り返す。

 

2時間くらいが経過し、腰、腿(もも)、ふくらはぎが悲鳴を上げ始めた頃、ようやく全部の部屋の掃除が終わり、昼食の時間。

「あ~、お腹が空いた。メニューは何かな?」

と思うのはまだ早かった。

患者さんの昼食を介助して食べさせてあげるのが我々の次の任務。

ここはインドなので、メニューはもちろんカレー。

手が動かない患者さんのために、我々が横について

一口ずつ丁寧にスプーンで口に運ぶ。

みんな食事を楽しみにしているんだね。

さっきまでは硬く動かなかった患者さんの表情が、少しだけ柔らかくなった気がした。

34684741-s

<<ブログ一覧へ戻る