インドのコルカタ(旧市名カルカッタ)という
街の片隅にマザーハウスがある。
ここは現在マザーテレサの遺志を受け継いだお弟子さん達が
恵まれない人々のために働く拠点となっている。
宿から近かったので、朝起きてすぐ見学に行くことにした。
すると朝6時にも関わらず、中庭には人があふれてる。
50人以上はいるだろう。建物の門はまだ開いていない。
(こんなに朝早く開門前から見学に来るなんて、
やっぱりマザーテレサの認知度はすごいなぁ)
と感心していると、中庭の端の方に食べ物が置かれている。
コーヒー、パン、チーズにクラッカー。
開門前から待ってる人に対するおもてなしだろうか。
(さすがマザーテレサ、健常者に対しても優しい!)
そう思いながらありがたくムシャムシャと食べていると
おばあさんが一人一人と話しながら、何かをノートにメモっている。
やがて自分のところにもやって来て、
(婆)「おまえはどこに行くのじゃ?」
(自)「今日は国境を超えてバングラディシュに入る予定です」
(婆)「違う。どこの家にボランティアに行くかを聞いておるのじゃ!」
(自)「え???」
なるほど、ここにいる人たちはみんなボランティアをするために
世界中から集まった人たちだったんだ。
そうとは知らずにしっかり朝ごはんをいただいてしまった自分は、
責任を感じて、成り行きで1日ボランティアを体験することになった。
「死を待つ人の家」これが自分の派遣先だ。
期待と不安が交錯する中、スペイン人のリーダーに連れられて
カナダ人、韓国人の青年たちとともに現地に向かうことになった。