今度こそ我々の昼食の時間。
メニューはカレー・・・ではなく、コーヒーとパン・・・だけ。
「いいんだ。我々はここにボランティアに来ているんだ。
カレーを食べに来たんじゃあない。
もしも余分な食べ物があったら、それはすべて患者さんたちに差し上げればいいんだ。」
意地汚い自分にしっかりと言い聞かせる。
若い韓国人の青年3人組と談笑する。
彼らは釜山のキリスト教系の大学生で、なんと大学を1ヶ月休学してまでボランティアをするために、ここまではるばるやって来たのだと言う。
えらい!自分が学生の頃は考えもしなかった・・・。
午後は患者さんたちの沐浴のお手伝い。
これが結構大変。何しろ手足が硬直して動かせないから、中々服を脱がせてあげられない。
体の隅々まで洗ってあげて、やけどをしないようにちょっとぬるめのお湯をかけてあげるとすごく気持ちが良さそうだ。
何十人もの患者さんを2人1組でベッドにお連れすると、患者さん達はお昼寝の時間。
ここで今日の我々の任務は完了。夜は常駐スタッフにバトンタッチする。
「死を待つ人の家」
そこに暮らす人々には日々静かに時間が流れ、やがて終わりを迎えるであろう彼らの人生を締めくくるための準備をするような場所だった。
言いようのない切なさと寂しさを感じながらも、ほんの少しだけ微笑んでくれた老人の笑顔を思い出しながら、彼らに死が訪れる日がたとえ一日でも先になってくれることを願っていた。