一度、電車の屋根の上に乗って旅してみたいと思ったことはないだろうか?
その夢が実現できる場所が南米エクアドル、アンデス山脈のとある田舎町にある。
朝6時に発車するその電車に乗るために、早起きをして駅に向かった。
すでに相当な数の乗客が集まっていて、写真を撮ったり騒いだり踊ったり。
みんな乗る気マンマン、気合も十分だ。
ところが、いざ列車が出発してみるとさっきまでの大歓声がパタッと止み、ついには誰一人として口を開かなくなった。
原因は明らかで、それはとにかく「寒い」の一言に尽きる。
早朝のアンデス山脈、気温9℃、風を切って走る列車の上。
なるほど寒くない訳はない。
小学校時代、どんなに寒い日でも半袖半ズボンで通した自分が寒いと感じるのだからこれは間違いない。
また、スペース的にもかなり厳しく、ここで許されるのは体育座りのみ。
乗客はみんな好んで乗ったはずなのだが、よくよく考えてみるとかなり劣悪な環境だ。
狭い中ヒンシュクを買いながらも、商魂たくましくお菓子を売る兄ちゃんに聞いてみる。
自分 「この列車は終点までどのくらいかかるんですかね?」
兄ちゃん「6時間くらいだよ」
自分 「え・・・」
この鉄板の上で寒風に吹かれ続けて6時間・・・。
1ドルのクッションをレンタルしておいたのはせめてもの救い。
終点までの間、トイレ休憩は2時間に一度。
ただし、田舎駅の僅かなトイレには想像を絶するほど長い列ができる・・・。
う~ん、これは観光かそれとも修行なのか・・・。
休憩した駅で食べた揚げバナナの暖かさと甘さだけがやけに心に沁みた。