昨日まで仲良く一緒に遊んでいた友達が、ある日を境に突然豹変して自分に襲いかかってきたらどうだろう?
昨日まで仲良く近所付き合いをしていた隣人が、ある日を境に突然武器を振り回して自分を殺しにきたらどうだろう?
こんな非現実的とも思えることが、今からおよそ20年前の1994年にアフリカ大陸中東部のルワンダという国で現実に起こってしまった。
ルワンダは海のない内陸の小さな国で、「千の丘がある国」と呼ばれている通り、首都のキガリ周辺は坂道がとても多い。
また、一年を通じて降雨量が多く緑豊かな美しい土地で、ルワンダコーヒーが有名な、のどかで素朴な国だ。
大統領暗殺事件を契機に、メディアによる扇動にまんまと乗っかってしまった一方の民族が、民兵として一気に集団暴徒化し、わずか100日の間にもう一方の100万人近くの罪なき民族を極めて残虐な方法で虐殺してしまった。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%AF%E3%83%B3%E3%83%80%E8%99%90%E6%AE%BA
ここは、虐殺を受けた民族が最後の拠り所として逃げ込んだ教会。
だが、その期待も虚しく、重機で無理やりに入口をこじ開けられ、銃の雨、ナタの嵐を浴び、絶命していった者たちの人骨とその日に最後に着ていた服が展示されている。
この人たちはなぜ、こんなにも残虐な方法で大勢の人々の命を奪わなければならなかったのか。
この人たちはなぜ、幸せな日常生活からある日突然奈落の底に突き落とされ、有無を言う間も与えられず殺されなければならなかったのか。
その疑問に答えられる者もいるはずもなく、ただその現場の冷たい沈黙が悲しい記憶をよみがえらせ、いつまでもこの胸に突き刺さっていた。