寒い・・・寒すぎる・・・。
モンゴルの夜は冷える。
6月なのになぜにこんなに寒いのか・・・。
あらかじめ夜の冷え込みを想定して、お借りした服を5枚も重ね着し、毛布も3枚重ねたにも関わらず、トイレが近い。近いと言っても実際にはトイレは無い。ゲルの外の好きな場所で用を足す。あまりの寒さに朝までこれを繰り返すこと5回。6回目の尿意をもようした頃、ようやく夜が明けた。
うわっ、よく見たらこの子どもたち、ランニングシャツで寝てたのか。
しかも凍りつく地べたに毛布一枚で・・・。あぜん、と言う他ない。
昨日は半袖で過ごせたのに今日は寒い。6月だからと油断して薄っぺらのシャツしか持って来なかった自分の読みの甘さを痛感する。
首都ウランバートルから車に揺られて3時間余り。建物一つ建ってない大草原の風景もだいぶ見慣れてきた頃、ぽつぽつとゲルが立ち並ぶ集落の前で車は止まり、草原に降り立った。
「ここで今日から3日間過ごしてください。家族には了解を取ってあります。あさっての昼ごろ迎えに来ます。では。」とだけ言い残し、あっけなくガイドはその場を立ち去った。
「大草原のゲルで遊牧民と暮らしたい。」
という一心でモンゴルの首都ウランバートルまでやってきた。そして、宿泊先のホテルの支配人に懇願して、ここまで連れてきてもらったのだ。
お世話になる家族は5人家族。お父さん、お母さん、長男のプルドルチュ、長女のドールコルスーレン、次男のバッツァンナン。
早速、あいさつ代わりに白樺の森へ一緒にお散歩。木登りに興じ、童心に帰る。自然とどちらが高いとこまで登れるか、木登り競争になる。
湘南藤沢の松林で育った自分は、小さいころから松の木登りは得意中の得意。こんな子どもに負けるはずは・・・。負けた。
「そんなに細い枝まで登ったら折れるわ!わかった、降参だからもう降りて来なさい」
ゲルに戻るとこどもたちとお昼ごはん。
食べ終わるや否や、草原でじゃれ合う兄妹。この様子はこちらで詳しく。
それでは虐殺事件以降20年が経過した現在、ルワンダはどのような状況なのか?
改めてルワンダ虐殺事件の全容を振り返ってみる。
・人口700万人のうち、およそ15%に相当する100万人が命を失った。
・その犠牲者の大半が働き盛りの世代で、特に若い女性や子どもたちが多い。
・2つの民族で構成されるこの国で、その後も深く刻まれるであろう民族間の憎悪の念。
これらのことから推測するに、事件後この国が発展してきたとは到底想像し難い。
なんと驚くべきことに、ルワンダはこの20年間で経済的に大きく発展していたのだ。
特にここ10年の間は、毎年7%もの経済成長率を誇っている。
ちなみにルワンダは決して資源国ではない。石油もなければ金も銀も出ない。
では一体なぜ、資源もない、若い世代も少ない、人の心も建物も崩壊してしまったルワンダがこの短期間に奇跡の復活を遂げることができたのか?
この経済発展の理由はいくつか挙げられる。
ルワンダの首都キガリ郊外にある虐殺記念館。
海外からの来館者は多数いるものの、ルワンダ人の来館者はほぼいないという。
あれから20年が経過した今でも、被害者側の民族はもとより、加害者側の民族も決して思い出したくない悲しい記憶なのだろう・・・。
昨日まで仲良く一緒に遊んでいた友達が、ある日を境に突然豹変して自分に襲いかかってきたらどうだろう?
昨日まで仲良く近所付き合いをしていた隣人が、ある日を境に突然武器を振り回して自分を殺しにきたらどうだろう?
こんな非現実的とも思えることが、今からおよそ20年前の1994年にアフリカ大陸中東部のルワンダという国で現実に起こってしまった。
ルワンダは海のない内陸の小さな国で、「千の丘がある国」と呼ばれている通り、首都のキガリ周辺は坂道がとても多い。
また、一年を通じて降雨量が多く緑豊かな美しい土地で、ルワンダコーヒーが有名な、のどかで素朴な国だ。
大統領暗殺事件を契機に、メディアによる扇動にまんまと乗っかってしまった一方の民族が、民兵として一気に集団暴徒化し、わずか100日の間にもう一方の100万人近くの罪なき民族を極めて残虐な方法で虐殺してしまった。
ん?
なぜだろう、滝に向かう途中にすれ違う観光客のテンションが妙に低い。
それからなぜだろう、滝はもうかなり近づいてるはずなのに水しぶきが全く見えない。
確か、ナイアガラもビクトリアも数百メートル手前から滝の轟音が響き、湧き上がる水しぶきも見えたはずなのだが・・・。
この地球上には、三大瀑布と呼ばれている巨大な三つの滝がある。一つ目は、アメリカとカナダとの国境付近にある「ナイアガラの滝」。二つ目は、アフリカのジンバブエとザンビアとの国境付近にある「ビクトリアの滝」。そして三つ目は、その中でも最も大きい滝、つまり世界一巨大な滝である「イグアスの滝」だ。
その巨大さたるやハンパではない。修学旅行でおなじみの日光「華厳の滝」が横に571個並んだ規模と言うと想像がつくだろうか?滝の最大の落差は82m、そして驚くべきなのは滝の幅。なんと4,000m!これを地図に当てはめると、東京駅から始まって有楽町、新橋、浜松町、田町までずっと滝、ということになる。
すでにナイアガラとビクトリアを制覇した自分にとっても、残された最後の瀑布。是が非でも行きたい聖地なのである。
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前編、中編と書いている間中、何か大切なことを忘れてるような気がしていたのだが、今思い出した。そうだ、ジブチの宣伝をしなければいけなかったんだ。そういえば、ジブチに滞在中、遠方の湖まで車をチャーターしたときの値切り交渉でのこと・・・、
運転手 「その湖まで行くなら、○○ジブチフランだな。」
自分 「そりゃ高いでしょ!その半分の××ジブチフランにしてよ。」
運転手 「そんなんじゃ、ガソリン代にもならないよ・・・。」
自分 「じゃあ、日本に戻ったらジブチとおじさんのことをしっかり宣伝しておくからさ、ちょっとだけ安くしてよ。」
運転手 「よしそれならOKだ、約束だぞ!」
という会話をしたんだった・・・。
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誰も知らない国ジブチの隣りには、これまた誰も知らない国「ソマリランド」がある。ところがこの国、いや正確に言うとこの「地域」は、現在国連では国家として承認されていない。
ソマリランドは元々「ソマリア」という国に属していた。が、1988年に内戦が勃発。それにより無政府状態となった後は、国連介入、エチオピア軍侵攻、米軍介入、イスラム過激派アル・シャバブ台頭など、まさに泥沼化。そのソマリア内でそれぞれ分離独立を宣言した「ソマリランド」と「プントランド」は現在も国際的には国として認められていない。
いつだったか、オリンピックの開会式の入場行進をテレビで観ていたときのこと。
アフリカ諸国の行進の順番が来ると、それまで饒舌に各国の情報を伝えてきた実況の口数が急に減ってきた。
カーボベルデ! サントメプリンシペ! シエラレオネ!
誰も知らないマイナーな国の国名を発する会場のアナウンスだけが音として流れるものの、話すネタが思い浮かばないのか実況は黙り込み、やがては完全な沈黙状態に。その後、長い静寂の時間を経てようやく発した言葉が、こともあろうか「知らない国もあるもんですねぇ・・・」と、視聴者と全く同レベルの発言・・・。
(その知らない国を事前に調べて、ちゃんと視聴者に伝えるのがあんたの役目でしょ?)
好奇心だけは人一倍の自分は、その「誰も知らない国」を知るために旅に出る。今回の訪問先はアフリカ大陸にある「ジブチ共和国」。大半の日本人にとっては、間違いなくノーバディノーズな国だと思う。その証拠に、世界中すべての国を網羅しているかのように見えるあの「地球の歩き方」でさえ、ここジブチに関しては1ページも割かれていない。
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